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フトアゴヒゲトカゲの温浴
フトアゴヒゲトカゲを飼育するうえで必ず飼育者の前に立ちはだかるのが温浴問題です。
僕もフトアゴヒゲトカゲを飼育するまでは、トカゲを温浴させるいう発想はまったくありませんでした。
温浴を推奨している爬虫類ショップや動物病院もありフトアゴヒゲトカゲ飼育にはごく普通のことになっていますが、飼育者のなかには温浴は生体に良くないという意見もあります。
そもそも本当に温浴をさせる必要があるのでしょうか?
どうなん?
そこでこの記事ではフトアゴヒゲトカゲに温浴をさせる理由や正しいやり方を詳しく解説します。
フトアゴヒゲトカゲに温浴をさせる理由
体を洗浄するため
フトアゴヒゲトカゲの飼育ケージ内は餌や排泄物を含んだ床材や埃などで見た目以上に汚れています。
そんな飼育ケージ内で過ごしているとフトアゴヒゲトカゲの体にも汚れが蓄積していき、放っておくとダニや害虫が発生する恐れもあります。
野生化のフトアゴヒゲトカゲは降雨や水たまりなどで体を洗い流す機会がありますが、飼育下では自ら体を洗うことができないため温浴によって体をきれいに洗浄します。
水分補給させるため
フトアゴヒゲトカゲにとって脱水症状はとても危険です。脱水症状が引き金になり、さまざまな疾患に繋がる危険性があります。
とくにベビーの脱水症状は深刻で、対処する間もなくあっという亡くなってしまいます。
- 便秘
- 脱皮不全
- 痛風
- 腎臓疾患
- 宿便
脱水症状を予防するためには十分な水分補給が必須です。
野生化のフトアゴヒゲトカゲは餌だけでなく降雨・夜露・水たまりなどから水分補給する機会がありますが、飼育下では餌から摂取するか水入れから飲むかしかありません。
しかし飼育ケージ内に設置できる大きさの水入れでは水の存在に気付くことができず、自発的に水を飲むのが困難です。
スポイトから直接飲ませることもできますが、もっと効率よく水分補給できるのが温浴です。
喉が渇いているフトアゴヒゲトカゲを温浴させるとグビグビと飲み始めることがありますが、それだけ水分を必要としている証拠です。
あまりにも水を飲むようであれば飼育ケージ内の湿度が不足している可能性もあるので、湿度が30〜40%を保てているか確認してみましょう。
排泄促進のため
温浴をすることでフトアゴヒゲトカゲの腸内の動きが活性化し排泄しやすくなります。
便秘中のフトアゴヒゲトカゲにも効果的ですが、どちらかというと温浴による水分補給が便秘の改善に繋がります。
また温浴中に糞をさせればケージ内を汚すことなく清潔に保てるというメリットもあります。
脱皮の補助のため
フトアゴヒゲトカゲは生涯脱皮をくりかえします。とくに成長期(ベビー〜ヤングアダルト)は常にどこかの皮が剥けている状態です。
飼育ケージ内の湿度が適切であれば何もしなくても脱皮できますが、フトアゴヒゲトカゲのなかには脱皮が苦手な個体もいます。
霧吹きなどで脱皮を補助する方法もありますが、温浴をすることでより効果的に脱皮を促進することができます。
温浴(水浴び)が好きだから
これまで4匹のフトアゴヒゲトカゲを飼育してきた経験から確信したのは、フトアゴヒゲトカゲは温浴(水浴び)を好む傾向にあるということです。
その理由となるエピソードをいくつか紹介します。
自分からお湯に入る
これは我が家のすべてのフトアゴヒゲトカゲに共通していえることですが、目の前にお湯をいれた桶を置いて水面を揺らすと自分からお湯に入ります。
そしてお湯に潜ったりお湯を飲んだりしてしばらく過ごし、最後に糞をして自分でお湯から出ていきます。
最初にこの行動を見たときは驚きましたが、温浴がストレスになっていないことを確信しました。
日光浴中に水浴びする
春〜秋にかけて天気のよい日は積極的にベランダの日光浴ケージで日光浴をさせています。
そのときに水を入れたトレイを置いているのですが、水の存在に気づくとトレイに入り水浴びをはじめます。
温まりすぎた体を冷ましているようにも見えましたが、とても楽しそうにも見えました。
雨に反応する
激しい雨の日にフトアゴヒゲトカゲを部屋んぽさせていたときのことです。
窓ガラスに雨があたると、急に窓のほうへ走り出し外へ向かって猛突進しはじめました。
もしかして雨が好きなのか?と思い、風呂場でシャワーを見せてみるとすすんで水浴びを始めました。
野生下では降雨によって体が洗い流されたり水分補給をするといわれているため、本能的に雨に反応するのかもしれません。
このようなエピソードが飼育中の複数のフトアゴヒゲトカゲに共通してみられたため、フトアゴヒゲトカゲは温浴(水浴び)が好きなのではないかと考えています。
もちろんすべてのフトアゴヒゲトカゲが温浴(水浴び)を好むとはいえませんが、本人が望んでいるようであれば積極的に温浴をさせてあげてもいいのではないでしょうか。
フトアゴヒゲトカゲに温浴をさせる注意点
未消化の糞を排泄してしまう可能性がある
温浴での排泄は半ば強制的に排泄を促すようなものです。
そのため長時間の温浴や頻繁な温浴は、未消化のままの糞の排泄に繋がる恐れもあります。
適切な時間と頻度で温浴させるように注意しましょう。
ストレスをかける可能性がある
我が家のフトアゴヒゲトカゲたちのように、温浴や水浴びを好む個体もいれば嫌がる個体もいます。
嫌がる個体を無理やり温浴させるとストレスを与えてしまうだけでなく、人間嫌いになってしまう可能性もあるため絶対に避けましょう。
ちなみに、ベビーのときに温浴が嫌いでもアダルトになってから温浴が大好きになるパターンもあります。
はい!
フトアゴヒゲトカゲの温浴方法
温浴をさせるタイミング
起床直後のフトアゴヒゲトカゲは体温が下がっているので、いきなりお湯に浸けると温度差にビックリしてしまいストレスを与えてしまう恐れがあります。
バスキングを始めてから1時間くらい待ち、フトアゴヒゲトカゲの体温が温まってから温浴をさせましょう。
お湯の温度
我が家ではお湯の温度を35℃〜38℃に保つようにしています。冬場は温度がすぐに下がるのでこまめに足し湯して温度を保ちましょう。
温浴をさせる長さ(時間)
未消化のままの糞を排泄してしまう恐れがあるため長時間の温浴は避けます。
我が家ではだいたい5〜10分を目安にしています。
温浴よりもフトアゴヒゲトカゲにストレスを与えないことを優先し、湯船から出たがったり騒ぎはじめたらお湯から出してあげましょう。
お湯の深さ
温浴をさせるときプラスチックのケースなどにお湯をいれますが、水深が深すぎると安定せず暴れ出すことがあります。
フトアゴヒゲトカゲの体にあわせて、必ず足が届く水深にしましょう。
温浴の頻度
飼育者によってさまざまな意見がありますが、我が家では週に2〜3回程度を目安にしています。
また、明らかに糞で体が汚れているときは頻度にかかわらず温浴させてきれいに洗ってあげましょう。
汚れはブラッシング
糞や床材などで体が汚れている部分は、歯ブラシなどを使ってブラッシングしてあげましょう。
まとめ
温浴をさせるかどうかは飼育者の判断次第です。
野生下のフトアゴヒゲトカゲは温浴なんかしない!といわれればそれまでですが、雨を浴びたり水たまりで水浴びしたりと温浴に似たような行動はしているはずです。
僕の意見としては、フトアゴヒゲトカゲのストレスにならないのであれば温浴はしたほうがいいと考えてます。
我が家のフトアゴヒゲトカゲたちのように温浴や水浴びが大好きな場合もあるので、フトアゴヒゲトカゲをよく観察し必要に応じて判断しください。