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フトアゴヒゲトカゲの水分補給 | 脱水症状を防ぐために知っておきたいこと
飼育下のフトアゴヒゲトカゲによくある病気やトラブルのなかで、とくに多くて危険なのが脱水症状です。
軽度の脱水症状は見た目ではわかりにくいため、気づかないうちにフトアゴヒゲトカゲの体を蝕んでいる可能性も。
脱水症状はさまざまな病気の引き金になりますが、飼育者が正しい知識をもち水分補給をすることで避けることができます。
よかった!
そこでこの記事ではフトアゴヒゲトカゲの脱水症状と水分補給について詳しく解説します。
フトアゴヒゲトカゲの脱水症状の原因は「餌」と「湿度」にある
フトアゴヒゲトカゲの脱水症状の主な原因は水分不足なので、十分な水分を摂取できていれば脱水症状を防ぐことができます。
野生下のフトアゴヒゲトカゲは食事(昆虫や植物)を中心に降雨や夜露などからも水分を摂取していますが、飼育下では給餌が主な水分補給源となります。
また、どんなに水分を摂取していても体内から水分が出てしまうと脱水状態になります。
体内から水分が出てしまう要因として挙げらるのが、過度の乾燥による湿度不足です。
フトアゴヒゲトカゲは高温で乾燥した環境に生息するので乾燥には強いものの、過度な乾燥による湿度不足は脱水症状を引きおこします。
飼育下では給餌だけでなく湿度管理にも気をつけて脱水症状を予防しましょう。
フトアゴヒゲトカゲが健康を維持するために必要な1日の水分の量は、体重1キロあたり10ml〜30mlといわれています。
例)体重500gの場合、1日あたり5〜15mlの水分摂取が必要
フトアゴヒゲトカゲの脱水症状が引き起こす健康リスク
フトアゴヒゲトカゲの脱水症状は深刻な健康上のリスクを引き起こす可能性があります。
- 脱皮不全
- 便秘
- 痛風
- 腎臓病(腎不全)
- 肝機能障害
- 結石
どれも避けたい症状ですが、とくに避けたいのが腎臓病です。
飼育下のフトアゴヒゲトカゲの死因に多い慢性腎不全は、ゆっくりと進行していくためなかなか気づくことができせん。
症状に気づいたときにはもう手遅れなんてことも多いので、日頃から水分補給には気を使いましょう。
フトアゴヒゲトカゲの脱水状態を見分ける方法
脱水状態に陥っているフトアゴヒゲトカゲにはいくつかの兆候がみられます。
- 肌にシワが多い
- 皮膚に弾力がない
- 唾液の粘り気が多い
- 目がくぼんでいる
- 食欲がない
- 元気がない
なかでもおすすめのチェック方法が「肌の弾力チェック」と「唾液の粘り気チェック」です。
肌の弾力チェック
フトアゴヒゲトカゲが脱水状態になると皮膚の弾力性がなくなりシワが目立ってきます。
正常に横たわっている状態でフトアゴヒゲトカゲの皮膚を数カ所つまんでみて、つまんだままの形でもとに戻らないようであれば脱水状態の可能性があります。
唾液の粘り気チェック
体内の水分が不足すると口内が乾き粘り気が強くなります。
フトアゴヒゲトカゲの口内を確認して、糸を引いていたりネバネバしてるようであれば脱水状態の可能性があります。
もしフトアゴヒゲトカゲにこれらの兆候がみられた場合は脱水症状の可能性が高いため、早急な応急処置と飼育方法・飼育環境を改善しましょう。
フトアゴヒゲトカゲに水分補給する方法
新鮮な野菜から水分補給
野生下のフトアゴヒゲトカゲの主な水分補給源は昆虫と植物です。
飼育下においても給餌による水分補給が望ましく、餌昆虫や野菜が水分補給源になります。
餌昆虫だとフタホシコオロギやシルクワーム、野菜だと小松菜・サニーレタス・サラダ菜・リーフレタスなどの水分含有量が多いので、フトアゴヒゲトカゲの健康状態によって与える量を調整しましょう。
フトアゴヒゲトカゲの餌に含まれる水分量などは「フトアゴヒゲトカゲの餌」で詳しく解説しています。
鮮度の低い野菜は水分も減っているため、野菜をカットしてから水を入れたボウルに浸けおきしたり餌皿に盛ったあとに直接霧吹きするなどして水分を補います。
温浴で水を飲ませる
給餌による水分補給が理想的ではありますが、なかには野菜をまったく食べてくれないフトアゴヒゲトカゲがいます。
むむ?
そんな場合は温浴で水分補給させてあげましょう。
お湯に浸かっているときに水面を揺らしてあげれば水の存在に気づきゴクゴクと飲みはじめます。
野菜をまったく食べないギドラ氏はとくに温浴中に水をよく飲みます。
フトアゴヒゲトカゲの正しい温浴方法は「フトアゴヒゲトカゲの温浴」で詳しく解説しています。
水入れから水を飲ませる
フトアゴヒゲトカゲは置いてある水入れから水を飲まない(水に気付かない)といわれていて、僕もそう思っていました。
が、そんなことはありませんでした。
毎日同じ水入れを同じ場所に置いておき、水が入っていることを認識すれば水入れから水を飲むようになります。
最初のうちは水に気づかないので、水面を揺らして水があることを覚えさせましょう。
また水入れをバスキングスポットの近くや保温球の下などの高温部に置いてしまうと、湿度が必要以上に上がってしまいます。
カビや雑菌の温床になってしまうこともあるので、水入れは飼育ケージ内の涼しい場所に設置しましょう。
スポイトで水を飲ませる
水入れからも飲まないようであれば、スポイトに水を入れて口元や鼻に数滴垂らしてみましょう。
するとチョビチョビ飲みはじめることがあります。
フトアゴヒゲトカゲはほんの少しずつしか飲まないので、勢いよくやってしまうと口からほとんどこぼれます。
床が水浸しにならないようにタオルなどを敷いてから挑戦してください。
霧吹きする
野生下のフトアゴヒゲトカゲは雨や夜露などの水滴からも水分補給をします。
そこで霧吹きなどで飼育ケージ内に人工的な雨を降らせ、体やガラス面に溜まった水滴から水分補給させることも可能です。
この方法は飼育ケージ内が乾燥しているときにとても有効ですが、季節によっては高湿度になってしまう恐れもあるため必ず湿度計を確認しながら行いましょう。
適切な湿度に保つ
どんなに水分補給をしても、飼育ケージ内が過度に乾燥していると体内から水分が奪われて脱水症状を引き起こします。
フトアゴヒゲトカゲがあまりにも水をよく飲むようであれば、湿度不足の疑いがあります。
湿度不足は脱水症状だけでなく呼吸器にダメージを与えてしまう恐れもあります。
飼育ケージ内の湿度は30〜40%に保ち、乾燥しすぎているようであれば霧吹きするなどして湿度を調整しましょう。
また飼育ケージ全体が湿度60%を越える環境も危険なので、湿度計でチェックしながら換気や除湿機を使用して調整してください。
フトアゴヒゲトカゲの湿度管理については「フトアゴヒゲトカゲの温度と湿度 | 生息地オーストラリアの気候」で詳しく解説しています。
脱水症状を恐れるあまり、水分補給をしすぎると下痢をしてしまいます。
下痢になると体内から水分を一気に奪われるので、給餌の内容を改善したり温浴を控えるなどして対策しましょう。
また下痢には寄生虫が原因の場合があるので、症状が続くようであれば動物病院での受診をおすすめします。
まとめ
飼育下のフトアゴヒゲトカゲの死因はさまざまですが、脱水症状が病気の引き金になるケースが多いといわれています。
しかし脱水症状は飼育者によって予防することができます。
大事なフトアゴヒゲトカゲのためにも、水分補給と適切な湿度管理を心がけましょう。